発達障害の私が、NHKの発達障害特集を観て思ったこと
発達障害に関する番組がNHKでたくさん放送されている。ツイッター界隈で「当事者たちが本当に困っていることは報じられてない」「発達障害があるけど、何かしらに秀でていて人生はうまくいってる人にスポットが当たっている」などの声があったので、気になっていた。
幾つか録画してあったので観てみましたが、確かに…… 何だか物足りなさはありますね。「発達障害の人はこういう困りごとがあります」的な内容がフリップに簡単にまとめられているのとかを見ると、何かが腑に落ちない。。何故こんなにモヤモヤするのだろう?
自分自身を分析してみたんですが、
→周りと違う特性があるせいで人生ずっと苦労してきたのに、それを一言二言で片付けられるのがムカつく!
→成功例(特性を生かして向いてる仕事についている、親が凄く協力的、など)ばかり紹介されても自分には当てはまらないし、結局、私はどうすればいいの !?
の2つが上がってきました。やっぱり当事者としては、
→明確に自分のことを表現して欲しかったのと
→これから生きていく上で助けになるようなヒントを求めていたのかもしれない。
でもそれを番組に求めるのも、無理難題なんだろうなぁというのも分かる。同じASDを持つ人でも、ADHDを持つ人でも、性格や考え方は十人十色。あと、どうすれば当事者たちがもっと生きやすくなるのか問題も、正解が存在する訳ではなく、それぞれが自分に合った道を探して切り開いていかなければならない。
番組が成功例しか紹介しないのも理解できる。今、二次障害でうつ病になったり、働けなくてお金に苦労してたりする人を映しても、それだけでは番組が成立しないですよね。何かしら解決策があるのなら(見捨てられた子供を救うヤンキー先生が現れる、的な展開)いいけど、実際のところ明確な解決策はない。
結局、番組は定型発達の人たち向けに作られてるわけで、「発達障害の人たちはこういう困りごとがあります。発達障害を持っていても成功してる人はいます」的な表層的な紹介で止まっている。
当事者の私が、もし番組を作るとしたら、どういう内容にするか考えてみました。やっぱり、当事者の人たち向けに色々とアドバイスをしたいです。
→二次障害でうつ病になってしまった人は病院やカウンセリングに通ってメンタルを少しずつ回復させましょう。あと、障害者手帳を取得しましょう。
→そして、働けなくてお金に困ってる人は障害年金を申請しましょう。
→やっぱり、自分がどういう人間なのか、自分自身がしっかり把握して無理しすぎない。
色々と言いつつこれくらいしか思い浮かばなかった……。
発達障害は辛いよ(涙)
フツーになりたい(切実)
結論はないのですが、結局、発達障害で困ってる人たち(自分も含め!)に伝えたいのは「正解はないよ、死なないんだったら、期待しすぎずに、ベターな生き方を模索してちょっとずつ前に進んでくしかないんだよ」でしょうか……。
アスペルガー女子が性被害にあいやすい理由を考えてみた
この度の台風被害で、避難所での性被害が問題に上がっています。狙われるのは子供や女子などの弱者。今回の台風に限ったことではありません。2年前の熊本地震の際、女の子が被害にあいましたが、加害者は罪に問われていません。許せない事態ですね。(参考:(「娘の傷は一生消えない」避難所での性被害の闇 把握10件、相談できず潜在化も 熊本地震2年|https://www.nishinippon.co.jp/item/n/404493/)
こういうニュースを見ると、自分自身の過去に知人からレイプされたトラウマが蘇ります。もう何年も前のことですが、未だに傷は癒えません。性被害は、その場の苦痛だけでなく、被害者の尊厳を奪い、心を一生蝕み続けます。
今回はアスペルガー女子と性被害について書きます。
アスペルガー(ASD自閉症スペクトラム)女子は、性被害にあいやすい性質をもっています。相手の意図を読むことが苦手なので危険を察知できない、というのが一つの原因。そして他にもたくさん原因があると思うので、以下に記載します。
まず、私自身のレイプ被害について書きます。数年前のこと、当時いじめにあっていたため、心が弱っていましたが誰にも相談できずにいました。もともと友達が少なく、親との関係も微妙で孤立していました。そんな中、昔からの知人に食事に誘われ、それほど仲の良い相手ではなかったけれど、寂しい気持ちを抱えていたので誰でも良いから会いたい、と思い誘いに乗りました。
食事の後、相手の家でお茶しないかと誘われ、正直疲れていたので断りたかったのですが、ノーと言えない性格のため、誘いに乗ります。家に入るなり襲われました。やめてほしいと何度も言いましたが、相手は笑って、強引に私を押さえつけました。腕力では勝てないし、怖いし、強めに拒否したらどうなるかわからないので、恐怖から無気力になりました。決して同意ではありません。殺されたくないから、代わりに自分の心を殺す。本当に悲しいことです。
なぜこういうことが起こるのか?
アスペルガー女子の下記のような特性が原因している:
- アスペルガー特有の、情報を取り込みすぎてしまう性質から、相手の話していることを聞き取るのが精一杯になり、今後の展開を予測するのが難しい。例えば「この後うちでコーヒー飲まない?」と言われた際、相手の家に行ったら起こりうることがその場ではシュミレーションできない。
- 怒られたり拒否られたりする経験が人一倍多く育ったため「ノー」と言えない性格になりがち。先ほどの例でいうと、そもそもコーヒーに付き合いたくなくても断れない。
- 突発的なことが起きるのが怖い(他人の表情が変わるだけで動機や息切れを覚えるほど)ため、性行為を強要させられた際、何も言えなくなってしまう。
- 孤立しやすいため、誰でもいいから話しかけてもらえるのが嬉しい
- 実際、孤立しやるいため、被害にあっても相談相手がいない
- 人に拒否られて育ったため、自己肯定感が低く、被害にあったのは自分のせいであると思い、自分のみを責めてしまう。
- 発達が遅いため、性行為の強要が犯罪であることを認識していない
- 女友達がいない(いたとしても自分の悩みをうまく相談できない)ため、ガールズトークなどで、男性の不適切な行動がどういうものか、という議論をしたことがなく、悪いことをされても気付けない
- 膨大なストレスを抱えていて、弱っているため、正常な判断ができない
加害者はどういう考えで犯行に及ぶか:
- 加害者は、気の弱そうで、断れなそうで、レイプしても周りに言えなそうな相手をそもそも選ぶ。こういう卑劣すぎる人間は実際にいるのです。
- アスペルガー女子の変わった挙動を見て、加害者は「こいつならいける」とターゲットに選ぶ
- 相手を傷つけても自分の性的欲求を満たしたいという自己中心的な考え方をしている
- 相手に一生のトラウマを負わせる行動をしていると気づいていない
アスペルガーの特性を持った女子をあえて狙う卑劣な人間は存在します。アスペルガー女子自身は、素直で優しい人が多いため、そういう人間がいるということが、発想できません。
まずはこういう人間がいる、ということを、アスペルガー女子(&女性たち)に伝えたいです。親御さんも是非教えてあげてください。性教育は日本ではタブー視されがちですが、できるだけ早いうちから性について学ぶことこそ、悲しい事件を防ぐ鍵となります。
子供の頃から拒否される体験をたくさんするアスペルガー女子は、自分に自身がなく、人との接し方に困惑しています。加害者のような人間が存在することや、自分がどんな目で見られているのかなど、定型発達の子が本能的に分かることも、アスペルガーの場合、言葉にして教えてあげないと分からないことがあります。
「自分を守れる人間に育つこと」 こそ、アスペルガー女子の課題だと思います。これは私自身にも言えることです。だからこそ仲間たちに伝えたい。
【アスペルガー女子】二次障害の話と、アスペルガーの娘への接し方について
私は発達障害のASDとADHDを診断されていますが、自分の体感で言うとASD傾向の方が強いです。7:3(ASD:ADHD)くらいのイメージでしょうか。
今回はASDについてお話します。ASDは日本語で自閉症スペクトラム障害。恐らくアスペルガーという言い方が一番知られているので、アスペルガーという言い方に統一します。
一般的に女性のアスペルガーの方が男性よりも診断されにくい、と言われています。私自身も、10年前から精神科に通っていますが、アスペルガーを診断されたのは2年前です。それまでは色々な心の疾患を診断されてきましたが、結局はアスペルガーであるが故に、生活に困難を抱えていたんだなぁ、と今では思います。
アスペルガーの男女比は約2:1(※1)ですが、実際に精神科などで診断される割合は4:1程度。このデータから何がわかるかというと、女性の方が、アスペルガーの特性を持っていても、診断され辛いということです。アスペルガー女性に対して、お医者さんが「あなたはアスペルガーじゃありません」と言う可能性があるわけです。私にもこの経験があります。
なぜ、これが起こるかというと、比較的、男性よりも女性の方が自分を偽るのが得意だからだと考えられます。アスペルガーの人が、定型発達の人のように振る舞うことをマスキングと呼ぶのですが、どういうことかというと、アスペルガーの人本人が「自分は他の人とちょっと違うな」と気づいて、定型発達の人の真似っこをしながら生きていくのです。これは無意識のうちに、子供の頃から行われていることが多いです。
例えば、幼稚園で何人かの子供が一緒に積み木で遊んでいたとします。定型発達の人たちは、本能的に、誰かと一緒に協力して遊ぶことは楽しい、と感じて、率先して一緒に遊びます。
一方、アスペルガーの子は、共感したり、周りの子たちの表情を理解するのが難しいため、定型発達の子と同じペースで、一緒に遊ぶのが難しい。
そこで、男の子のアスペルガーの場合はAとBの反応が多く見られます。Aの孤立するタイプは「僕は一人で積み木遊びした方が楽しい。みんなと遊びたくない」というタイプ。Bタイプは、支配したがる子です。「みんなを思い通りに動かしたい」というタイプ。ちょっとジャイアンみたいな、協調性のない、いばりんぼ。
そして、女の子に多いのがAでもBでもなく、Cの「わからないから観察する」タイプです。「みんなどうして楽しそうにしてるんだろう?どうしたらみんなと同じようにできるかな?」と考えます。他の子たちが無意識にできていることが理解できないから、めちゃくちゃ観察します。そして分析します。なるべく人気者の女の子を参考にします。「◯◯ちゃんはなんで皆に好かれていて、いつも楽しそうなんだろう? いつも笑ってるから? みんなに話しかけてるから? 誰かが困ってたら助けてあげてるからかな?」
そうして、人気のある子を参考に、自分も同じような行動をとるようになります。この観察、分析、真似っこ、の3ステップを、大人になるまでに何万回も繰り返します。
頭の中はいつもフル回転、普通の子が自然にできることを、頭フル回転で演じているのです。こうして、はたから見ると、普通の女の子が出来上がります。
男の子の孤立型や、支配型は、大人が見ていて、「あれ、この子普通とちょっと違う?」って気づかれるのですが、女の子のマスキング型は、大人から見ても普通の子に見えるようです。
アスペルガー女子の主な特徴として、まずは、先ほども説明した「高い観察力」です。物心ついたころから、心理学者のような考え方をし続けます。どうして人々はああいう行動をするのだろう?どうしたら自分は普通の人っぽく見えるだろう?
表面上は普通のおっとりしたいい子が多いですが、頭の中はフル回転の、大混乱です。普通の子が自然にやっていることを、一つ一つ考えながらやっているので、頭の中はパンク寸前です。
次第に、マスキングがうまくなりすぎて、本当の自分がわからなくなってきます。
一見、これっていいことかも? と思うかもしれませんが、発達障害が治ったというわけではありません。マスキングは心と体に大きな負担をもたらします。
マスキングを続けている人は、二次障害を起こしやすいんです。私自身も、幼稚園のころから自分を演じて、疲れ果てて、19歳のころから、うつ病になってしまいました。
いつも普通の子が自然にやっていることを、一つ一つ考えながらやっているので、常にへとへとでした。でも、周りからは理解されません。親からも「普通に生活してるだけなのに、なんでそんな疲れてるの?」などと言われていました。自分でも何でなのかはわかりませんでした。
ただ、自分が自然体で行動すると、大人に怒られたり、友達に嫌われたりするのは、体感として分かっていたので、いつも「いい子」を演じていました。自分の心は置き去りになっていました。
アスペルガーの子をもつ親御さんは、お子さんの危険信号に気づいてあげてください。特に、学校では「いい子」だと先生に言われて問題を起こさない子が、家に帰ると爆発するパターンが危険です。外にいるときは、無理して普通を演じているので、家に帰ると、めちゃくちゃ怒りっぽくなってイライラしたり、逆に殻の中に閉じこもったように何もしゃべらなくなったり、具合悪そうにしていたら危険信号です。
これはメルトダウンと言われていて、外であまりにも気を張りすぎて、家に帰ると、その反動が起きることです。
大人のアスペルガーにも起こります。仕事後に帰宅すると、疲れすぎて何もできなくなってしまう人や、ストレスで暴飲暴食してしまう人などは、無理をしすぎているかもしれません。
アスペルガーの子によく見られるのが、意見をきかれたときに「わからない」というパターンです。
この子は、「自分の意見を持ってないなぁ」「ぼーっとした子だなぁ」「何も考えてないの?」などと思うかもしれませんが、「わからない」の本当の意味は、こういうことなんです。
「頭の中にある辛くて複雑な感情や考えを、上手くまとめられないし、たくさんの感情が入り混じり過ぎていて、それらを一つ一つ拾い上げて、みんなに理解してもらえるような言葉で説明する方法がわからない。」
めちゃくちゃいろいろ考えているし、感じている。なんなら、定型発達の子よりも、深くいろんなことを考えたり感じたりしているかもしれません。でも、複雑すぎて言葉にできないんです。自分でも自分自身が説明つかない状態になっています。それに加えて毎日演技しなきゃならないです。本当、辛いですよ。。。。
では、そういう子が生きやすくなるにはどうしたら、いいのでしょう?
私がオススメするのは、自分の考えを書き出す習慣を作ることです。できれば毎日、ノートなどに、自分の考えていること、悩んでいること、引っかかっていること。とにかくいっぱい書いてください。誰にも見せなくていいです。自分だけの感情を書きなぐってください。可視化すると見えてくるものがあります。アスペルガーの人は視覚で情報を得るのが得意だと言われています。頭で考えていることが、ノートにかき出されているのを見ると「あ、自分はこんなことを考えていたんだ」って思ったり、悩んでいたことの解決の糸口が見えてきたりもします。
私たちアスペルガーは、混乱しやすいです。定型発達の人よりも、世の中が複雑に見えてたりします。書くっていいですよ。
お子さんの場合は、親御さんが、辛抱強く話を聞いてあげてください。イライラしてしまう時もあるかもしれませんが、「ありのままでいいんだよ」っていうメッセージを伝えてあげてください。
アスペルガーの子の人生は過酷です。周りに理解されなくて、無理して自分を作っていると、本当、毎日泣きたくなります。
月に1回だけでもいいので、二人で座って、お茶でも飲みながら、「最近困っていることとかない?大変なこととかある?無理してない?」なんて聞いてあげてください。忙しいとは思いますが、たまにでいいので「あなたの存在を認めているよ」というメッセージを送ってあげてください。
お子さんがお話が苦手な場合は、手紙交換もいいと思います。
(※1)データは、イギリスの心理学者で、アスペルガー研究で有名なTony Attwoodという方が解説していたアスペルガー女子の特徴に関するスピーチを参考にしたものです。
アスペルガー女性特有の悩みを、誰かと共有し合いたい。
こんにちは。サクラです。
自分がアスペだと気付き、診断を受けたのはいたのは2年前のこと。
ADHDの診断も受けていますが、アスペの特徴の方が強く出ている。
それまでは自分は定型発達だと思っていました(というより、恥ずかしながら発達障害の存在を知りませんでした)。
今までの人生を振り返ると「生きづらい」「毎日が地獄」「尋常じゃないくらい疲れているのに、周りからは理解されず、怠け者と呼ばれる。むしろ今までずっと、うつ病になるまで無理して頑張ってきたのに」「普通に見られたいから、定型発達の人たちの行動を完コピして生きていた。そのため自分はどういう人間なのかわからなくなっていた」「人との衝突が怖いから、ノーと言えずやりたくないことを強要させられたり、面倒なことを押し付けられたりする日々」「人と接するのが苦手で、孤立してしまう」「パワハラ」「性被害」「DV」「毒親」など……。
挙げだしたらキリがないくらい、生きづらさの種を抱えていました。これらの生きづらさは、発達障害が原因だったのだと思います。真面目だけど、弱くて、人にすぐ言いくるめられてしまう私は、どこへ行っても暴力の的になりました。
自分で書いていて、被害者意識が強すぎるかな? とも思うけれど、実際に被害にあっているからなぁ……。
現在はうつ病、心身症、不眠症、などを抱え、過去のトラウマに苦しめられながら、なんとか在宅で仕事をして生活しています。頻繁に、トラウマのフラッシュバックに突然襲われたりします。過去の辛い経験が走馬灯のように頭の中を勝手に流れます。見たくないのに、頭の中で勝手に映像が流れて、そのときに感じた辛さや、悔しさや、怒りや、恐怖や、心臓がキュッとなる感じが当時と同じくらい鮮明に蘇ります。それが中々おさまらないときは、発作を起こし、頭の中で「こんなに辛いなら死んだ方がマシだ!絶望しかない!」と思います。
でも「本当は健康を取り戻したいし、前を向いて、人生を好転させ、楽しく毎日を過ごせるようになりたい」と思っています。体調には波があり、体調がマシなときはこういったポジティブで生命力を取り戻した考え方ができるようになります。
体調が不安定だから働けるときと働けないときがあります。他のアスペルガー女性たちはどうやって仕事をして生活しているのだろう? 同じような境遇の人たちと話をしたり、経験を語り合ったり、情報を共有したりしたいです。
アスペの特性によって孤立しやすい私は「もう無理に友達付き合いしなくていいや、一人の方が気楽だし」と思う一方で、すごく寂しいなぁー、とふとした瞬間に感じます。同じような境遇を抱えている人たちと、ゆる〜く繋がりたいです。孤立したもの同士で分かり合えれば、お互いに心の支えになれるのでは? と最近思っています。
なにが正解なのかわからないし、正解はなくて、単に弱者にとっては辛い世の中なのかもしれないけど、できることはやっていきたい。自分の心を救いたいし、同じような境遇の人たちにも何かヒントとなる発信や行動をしていきたい。